瀬戸内海で最も大きな島、淡路島。渦潮の名所で知られる鳴門海峡だけでなく、島に伝わる人形浄瑠璃など、ここでしか見ることのできない光景に出合えます。自然の力が作り出す迫力と、人間の作り上げる伝統芸能の美しさに触れてきました。
取材・文/渡辺鮎美
のどかな港から渦潮の海峡へ
静かな港に漁船が並び、シラスを干す木箱が広がるのどかな町、福良(ふくら)。渦潮(うずしお)の名所として知られる鳴門海峡へは、毎日クルーズ船が出ている。渦が見られるかどうかは満潮、干潮時刻や風など、当日の条件次第。この日、最も渦潮の発生が期待できるという、午前11時半発の「日本丸」に乗って、海峡に向かった。
出港から約20分、大鳴門橋が近づいてきた。橋の下のあたりを見ると、海面が盛り上がり、まるで滝のようになっている。瀬戸内海側と太平洋側の潮流がぶつかる海峡の境目だ。「鳴門海峡に到着しました」とアナウンスが流れる。
船の周りには、大小さまざまな渦潮がしぶきを上げていた。見つけたそばから、いつの間にか消えてしまう渦に、デッキに集まった人からも「あっ、あそこ!」「大きいなあ」と歓声が上がる。この日の渦は大きいもので幅約10メートル。春と秋には特に大きな渦潮が発生しやすく、最大で約30メートルにもなるのだという。
伝統の至芸 淡路人形浄瑠璃
港の目の前に立つのは「淡路人形座」だ。最盛期の江戸時代には40を超える人形座があった島伝統の「淡路人形浄瑠璃(じょうるり)」を今に伝えている。月替わりで異なる演目を、ほぼ毎日上演している。
この日の演目は「伊達娘恋緋鹿子火(だてむすめこいのひがのこひ)の見櫓(みやぐら)の段」。主人公「お七」が、恋人を助けるために、やぐらの鐘を打ち鳴らす。3人の人形遣(つか)いが操る「お七」はまるで生きているかのよう。天井から降る雪と「バシッバシッ」という「ツケ打ち」の音がより舞台を盛り上げる。すっかり物語の世界に引き込まれてしまった。
道具類は、江戸から昭和にかけて活動した前進の人形座から受け継いだもの。明治初期に作られた人形の「頭(かしら)」も現役だ。島の人々が守り伝えた技や芸の中に、自然とはまた違った美しさや感動が詰まっていた。
淡路人形座 |
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島特産のあま~い味わい
タマネギの産地としても知られる淡路島。丸ごと茹(ゆ)でたタマネギをペースト状にして、生地に混ぜ込んだ「ケーキ オニオン」(5個入り、650円)は、一口サイズでタマネギの食感と絶妙な香りを楽しめる。
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