加賀温泉郷の一角にある、自然豊かな13万坪の敷地。「加賀伝統工芸村 ゆのくにの森」は、石川県を中心にした伝統工芸が一堂に集まるテーマパーク。移築された古民家が点在し、中には作品の展示販売だけでなく、創作を体験できるコーナーもあります。
取材・文・写真/河瀬久美
加賀友禅や輪島塗、九谷焼……。「村」では、一度は聞いたことがある伝統工芸にふれることができる。
古民家の中の伝統美
「金箔の館」には金箔をあしらった食器や小物、「和紙の館」には色とりどりの手漉(す)き和紙と、テーマごとの「館」の中に、伝統美の世界が広がる。高級品から日用品まで展示・販売されており、眺めて回るだけで日が暮れそうだ。
敷地内の建物は、江戸~明治に建てられた古民家。築230年以上の「茶の湯の館 方丈庵」を眺めていたら、雪が。寒さで趣(おもむき)ばかりに浸っておれず、いよいよ屋内での伝統工芸体験に挑戦!
伝統工芸体験をハシゴ!
11の館に、伝統工芸体験のコーナーがある。種類は全部で50以上。1000円、20分程度でできるものもあり、道具の準備も不要だ。一つにじっくり取り組むも良し、時間の許す限りハシゴして、いくつつくれるか挑戦するも良し。
まずは「友禅の館」を訪れた。「武家社会で生まれた加賀友禅は、京友禅とは違って落ち着いたデザインが特徴」と先生。今回は、型の上から色を載せていく型染めを体験。筆をくるくる回して、加賀友禅の特色の「ぼかし」をつくるのが難しい。
「輪島塗の館」では、装飾技法の沈金を体験。下塗りに輪島で採れる黄土の粉を使うため、堅牢さが特徴の輪島塗。その表面に、好きな絵を彫る。先生が接着剤代わりの漆を塗り、金粉を沈めて拭き取ると、かわいい(?)こけしが浮き出てきた。
最後は、「九谷焼の館」で絵付けをした。好きな皿や器を選び、九谷焼の基本色、赤・青・緑・紫・黄色に黒を加えた6色の絵の具で上司の似顔絵を描く。家族で楽しめて、村内で一番人気の体験だ。
2週間後、絵皿が届いた。上出来とはいえないが、上司に見せると喜んでもらえた。世界に一つの作品、贈り物にもいいかもしれない。
加賀伝統工芸村 ゆのくにの森 |
加賀金箔 伊助饅頭(まんじゅう)
江戸時代、金沢城の御殿再建にあたり内密に金箔を造らせた箔屋伊助の名を冠したまんじゅう。てっぺんに金箔があしらわれている。写真は期間限定の「桜」(10個入り、950円)。村内の「お菓子の館」などで購入できる。