読んでたのしい、当たってうれしい。

ロゴ散歩

古代オリエント博物館

古代オリエント博物館

古代アッシリアの聖なる木

 古代メソポタミア、エジプト、ペルシャなどの歴史・文化資料を発掘、収集、展示する古代オリエント博物館。ロゴマークのモチーフは、古代アッシリア美術に見られる「聖なる木」だ。幹と葉の周りに松笠のような果実が七つ配置されている。

 一時オリエント全域を統一したアッシリアの宮殿から出土した浮き彫り彫刻には、帝王や精霊像とともに聖樹を表現したものがみられる。聖樹が何の木なのか確証はないが、現在も西アジアで広く栽培されるナツメヤシという説が有力だ。暑熱を遮る木陰を作り、木材資源として、果実(デーツ)は滋養豊富な食料としても利用される。

 1986年にロゴマークが作られた当時は公式の書簡用紙のレターヘッドとしてだった。研究員の下釜和也さん(42)によると、メソポタミアの円筒印章の麦、ペルシャの土器に描かれたヤギ文様などいくつかの候補から選ばれ、当時在籍した研究員がデザインしたという。開催中のコレクション展ではマークのモチーフとなった聖樹が見られる「線刻画のある石製容器片」が、展示されている。

 ◆古代オリエント博物館 東京都豊島区東池袋3の1の4、サンシャインシティ文化会館ビル7階(問い合わせは03・3989・3491)。午前10時~午後4時半(入館は30分前まで)

(2021年4月13日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

ロゴ散歩の新着記事

  • ふじのくに茶の都ミュージアム 稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。

  • 京都市京セラ美術館 国内2番目の公立美術館として1933年に開館、「帝冠様式」の建物で知られる京都市京セラ美術館。

  • 諸橋近代美術館 福島県・磐梯高原に1999年に開館した諸橋近代美術館。シュールレアリスムを代表する画家サルバドール・ダリのコレクションで知られる。

  • 山梨県立美術館 1978年の開館以来、「ミレーの美術館」として親しまれている山梨県立美術館。開館時からの目玉、ジャン=フランソワ・ミレー(1814~)の「種をまく人」をはじめ、バルビゾン派の作品や地元ゆかりの作品を数多く展示している。

新着コラム