ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
「み」の1文字に 美への思い込め
1961年の開館以来、「生活の中の美」を基本理念にすえるサントリー美術館。2007年に六本木・東京ミッドタウンへ移転する際、ロゴの一新を検討した。
「美を結ぶ。美をひらく。」という新しいミュージアムメッセージから、モチーフは「美」。漢字の「美」から生まれたとされる平仮名の「み」をデザイン化することにした。
アートディレクターの葛西薫さん、ナガクラトモヒコさんらは、館が所蔵する絵巻の詞書(ことばがき)から「み」の文字を抜き出して検討、吟味し、イメージに最も合う「み」を選んだ。最終的に選んだ室町時代の「浄瑠璃物語絵巻」の文字を書家の石川九楊さんが監修し、完成。検討を始めてから2年以上の月日が流れていた。
広報の光田晶さんは「ロゴの由来について問い合わせを多く頂き、美への思いを伝え、お話しする機会が増えました」と話す。今年7月、約8カ月の改修を終えて再開した後も、メッセージを凝縮した1文字はエントランスをさりげなく彩っている。
◆サントリー美術館 東京都港区赤坂9の7の4の3階(問い合わせは03・3479・8600)。午前10時~午後6時((金)(土)は8時まで)。(火)、展示替え期間、年末年始休み。