秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
いわゆるアメリカのおバカなコメディー映画です。登場人物は「つっこみ」無しの全員「ボケ役」。終始小ネタの連続で突っ走ります。
高校時代は「イケていない2人組」だった主人公のロミーとミッシェル。ある日、故郷の街で卒業10周年の同窓会が開かれることを知らされます。2人は、一緒に暮らすロサンゼルスから華麗にカムバックして、かつての同級生たちを見返してやろうとダイエットや職探しに奮闘しますがどれも失敗。結局、誰もが知っている付箋(ふせん)「ポスト・イット」の発明で成功した、と大うそで乗り切ることに。手作りのスーツ姿で故郷に向かいます。
冒頭から、2人はとてもキュートで魅力的に描かれていて、途中でけんか別れする展開にも説得力がありました。でも私が最も好きなのは後半、本物の成功者として同窓会に現れた同級生の男の子サンディと2人が一緒に踊る、不思議な場面です。シンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」というゆったりとした音楽にのせて、彼女たちはなぜか裸足です。寝転んだサンディが足を上げると、その周りを駆けまわって――。
監督はきっと、物語のつながりよりも「ここで3人に踊らせる」という思いを貫いたのでしょう。初めて映画を見た当時、私はまだ美大生で、これこそ創作において大切なことだと強く感じたのを覚えています。とはいえ難しいことは考えず楽しめる作品。ぜひあのダンスを見て欲しいですね。
聞き手・渡辺鮎美
監督=デビッド・マーキン
製作=米
出演=ミラ・ソルヴィーノ、リサ・クードロー、アラン・カミングほか いのうえ・りょう
主に映像作品などを手がける。出演中のNHK・Eテレ「びじゅチューン!」では、世界の美術作品を自作の歌とアニメで紹介。 |