初詣者数日本一を誇る明治神宮。今年も三が日だけで316万人が詣でたという(神宮調べ)。
その神宮の森に隣接する3番線は、大みそかから正月4日までの5日間だけ使用される、初詣専用ホームだ。神宮の敷地に直接抜ける臨時改札口はふだん、フェンスで閉ざされている。「ホームに立っただけで感動されるお客さまもいらっしゃいます」と森田規弘助役(54)。
駅の開業は1906(明治39)年。現在の駅舎は24(大正13)年に建て替えられた2代目で、現存する都内の木造駅舎としては最古級だ。3番線ホームの使用が始まったのは40(昭和15)年1月1日のこと。戦時下、「武運長久」を祈る参拝者が急増したため、利用客が安全に初詣できるようにつくったのだという。
ファッション発信地として知られる原宿の玄関口として、ふだんでも1日に7万1千人前後が駅を利用する。10人の駅員で対応しているが、年末年始は応援を含めて約30人態勢となる。大みそかの深夜と並んで乗降のピークを迎えるという元日の昼過ぎ、狭いホームに家族連れやカップルがあふれた。駅員が声を張り上げる。「掲示より何より最後はお客さまへの声かけです」と田島正敏駅長(52)。
参拝を終えた若い男女が臨時改札口を通った。「あれ、ここから入るの?」「今だけなんだよ」。彼女の「就活」がうまくいきますようにと、2人で祈ってきたそうだ。
文 土田ゆかり/撮影 馬田広亘
JR山手線は東京都区部を一周する全29駅、34.5キロ。 干支(えと)を体感するならポニーと触れ合える渋谷区立代々木ポニー公園(TEL03・3373・9996)。代々木駅から徒歩20分。季節により乗馬体験もできる。無料。(月)休み。 縁起担ぎのお出かけは、目黒駅起点の「元祖山手七福神」巡り。おしろい地蔵がある蟠竜寺や日本三大不動の一つとされる目黒不動尊など。約2時間半。 品川駅で京浜急行に乗り換えて新馬場駅から徒歩1分の品川神社(TEL3474・5575)には明治時代の富士塚がある。
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明治神宮の森は約70万平方メートル。1920年の神宮造営時、百年後には自然な林にと約10万本のさまざまな木が植えられた。常に20~30種の野鳥が見られ、日本野鳥の会東京(TEL03・5273・5141、(月)(水)(金)のみ)は毎月第3(日)に観察会を開いている=写真。参加費200円。 |