似鳥美術館
北海道で生まれた家具のニトリが開いた「小樽芸術村」は、20世紀初頭の建物群を利用して、美術品や工芸品を展示しています。
今年開館40年を迎えた当館では、フランス近代美術を中心とした所蔵品約300点から、約100点を年代順に展示しています。特に19世紀後半から20世紀初頭の名画がそろい、絵画の変革期がわかりやすいのが特徴です。
フォービスム(野獣派)は、印象派から始まった、絵画に自由を求める潮流の中で生まれました。きっかけは、1905年に仏・パリで開かれた美術展「サロン・ドートンヌ」。展示作品を批評家が「野獣のよう」と評したことが始まりです。画家たちは大胆な筆致や原色を用い、色彩表現をとことん追究しました。
アンリ・マティス(1869~1954)の「ラ・フランス」は同国を擬人化した油彩画。赤、白、青色のトリコロールのドレスが国旗を思わせます。描かれた39年は、第2次世界大戦開戦の年。祖国への思いや愛を表現したかったのでしょう。サラッと描いたように見えますが、色や形の調和を求め何度も描き直しています。制作しながら自分の気持ちを整理していたのかもしれませんね。
ラウル・デュフィ(1877~1953)は、マティスに刺激を受け、色彩表現を始めました。この絵の鮮やかな色とリズミカルな筆致からは、競馬場のざわめきや人々の動きが伝わってきます。
(聞き手・秦れんな)
《ひろしま美術館》 広島市中区基町3の2、中央公園内(TEL082・223・2530)。午前9時~午後5時(入館は30分前まで)。特別展開催時を除く(月)((祝)(休)の場合は翌日)、12月29日~1月2日休み。入館料は企画展によって異なる。2点は常設展示。
学芸員 森静花 もり・しずか 2013年より同館勤務。専門は西洋近代美術。パブロ・ピカソ作品の研究も行っている。 |