新訂万国全図 東半球・西半球(写)
日本が中央に。江戸の最先端世界地図。
上からのぞくと、黄褐色の皿が見える。拾ってきた古瀬戸の欠けた小皿に、自邸があった津市の千歳山の土を使って上部を継ぎ足した本作。収められた曲げわっぱのふたの裏には、「人みな珍盌(わん)ちんわんといふ」と記されている。銘の「ねこなんちゅ」は、「わん」を犬にかけて猫に見せたら何と言うかな、という意味。半泥子(はんでいし)のユーモアがあふれる。
半泥子が本格的に陶芸を始めたのは55歳ごろ。北大路魯山人(ろさんじん)とともに「東の魯山人、西の半泥子」と称された。「魯山人が料理を究めるために陶芸の道に入ったのと同じで、半泥子は茶道を究めるためだった」と主任学芸員の龍泉寺由佳さん。あくまで趣味。自分の思うままに作陶し、自由に銘を付けた。生涯に手がけた陶芸作品は3万とも5万とも言われ、その大半が茶碗だ。