森万里子作(東京都港区) 滑らかな曲線が美しい弧を描いて上昇しては、緩やかに下りてくる。
東京都庁などの高層ビルが立ち並ぶ西新宿。新宿アイランド前では、赤い「LOVE」の文字が行き交う人々を見守る。作者は米国のポップアートを代表する作家、ロバート・インディアナ。アルミニウム製で、約3.6メートル四方×奥行き1.8メートルの彫刻だ。
1995年、西新宿六丁目東地区の再開発事業で新宿アイランドが誕生。同時に「新宿アイランドアート計画」が進められ、周辺などに国内外の芸術家10人による14作品が設置された。「LOVE」など色のある作品を3カ所に置き、それ以外はモノクロームの色調でまとめた。
アート計画を主導した現・森美術館館長の南條史生さん(67)は、「永遠に続く平和な世界」をテーマにしたという。その中心的な存在が「LOVE」だ。「新宿駅から歩いて来たとき、新宿アイランドのゲートに当たる位置には視認性が高く、誰からも愛される作品を置いた」と語る。狙い通り、同作は多くの写真家に撮影され、テレビドラマの舞台にもなった。「現代美術は少数の観客しか想定しない作品もあるが、皆に愛されることも重要だと思う」
「VとEの間を、体が触れずに通り抜けると恋が実る」といううわさも。若い女性たちがくぐり抜け、笑顔を見せていた。
(大野紗弥佳)
新宿アイランドアート計画 複合ビル「新宿アイランド」に現代美術の作品を設置するアート計画は1996年、建物を含むプロジェクト全体が日本建築学会賞(業績)を受賞している。 「LOVE」はニューヨークなど海外にも複数あるが、新宿の作品は作者が60年代に描いた絵画と同じ赤、青、緑の色使いで制作されたという。 ロイ・リキテンスタイン「Tokyo Brushstroke Ⅰ」や西川勝人「Yunus Ⅱ」などが他にある。 |
都庁前駅すぐ。東京都庁第一本庁舎1階のTOKYO地域特産品売店(TEL03・5320・7547)で「都庁オリジナルハンカチ」(写真、43センチ四方、648円)を販売中。「都庁全景」(紫とローズの2色)と「都庁見上げ図」(赤のみ)の計3種がある。
西新宿の活性化を目指す「西新宿街ぐるみプロジェクト」として、12月25日(日)までillumination museumを開催。新宿アイランドや新宿パークタワーなど近隣ビルをはじめ計10施設がクリスマスのイルミネーションで彩られる。点灯時間は午後5時~翌午前0時。問い合わせは新宿パークタワー(5322・6640)。